よく高卒と大卒でどちらが良いのか議論されます。
この話題はYoutubeでも度々取り上げられますし、身近に会社の中でも話の流れで学歴を聞かれることもあると思います。
この論争は永遠のテーマと言っても過言ではないと思います。
今回は学歴において、どの段階が一番「おいしい」のか、得なのかについて考察していきたいと思います。
目次
結論
大学の文系学部が一番コスパが良い。大学院を選ぶ人は狂人。
大学
一般的な大学について解説します。四年制以上の学部である前提で解説していきます。
約半数が大卒
文部科学省公式サイト内に令和2年度学校基本調査(確定値)の公表についてという資料があります。
これによると高等学校等卒業者の大学への進学率は54.4%となっていて、半数以上が大学への進学をしていることが分かります。
大学に進学しても必ずしも卒業できるわけではないため、大卒はおよそ50%前後だと思われます。
日本では最もポピュラーな進路といっても差し支えないと思います。
初任給は大卒優位
厚生労働省公式サイト内に令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況-学歴別という資料があります。
高卒の方が働き始める年齢が若いのでこのグラフの中で高卒が一番左に伸びています。
そして大卒や短大卒等は卒業する年齢層である2番目のメモリから伸びていることがわかります。
グラフの左端からは働き始めた年齢層の賃金 ≒ 初任給を読み取ることができます。
高卒は19歳以下が182.7(千円)ということで18万強となっています。
一方、大卒・大学院卒は20~24歳で229.2(千円)ということで23万弱となっています。
大学院卒も同じカテゴリーで集計されてしまっているので、大卒は20万円前後くらいだと思われます。
この時点で初任給は大卒・大学院卒の方が優遇されていると言えます。
同年齢層の賃金も大卒優位
高卒の19歳以下と大卒・大学院卒の20~24歳の比較では、年齢差による待遇面の差異も含みます。
では同じ年齢層(20~24歳)の高卒と大卒・大学院卒を比較してみましょう。
つまり「勤続年数が4~6年の高卒」と「新卒の大卒・大学院卒」の賃金を比較します。
高卒(20~24歳)は203.0(千円)、大卒・大学院卒(20~24歳)は229.2(千円)となっています。
この事実から言えるのは、同じ年数を過ごしてきたにも関わらず、4~6年会社に貢献してきた高卒よりも新参者の大卒の方が優遇されているということです。
これらのことから、会社員なら大卒というステータスだけで初任給が高い傾向にあります。
しかも本人がどれだけ有能か無能であるかに関係なく。
さらに、同じ年齢層であっても大卒の方が優遇されていると言って良いでしょう。
さらに年齢層が高くなるについて同年齢間の差は大きくなっていきます。
それに伴い、生涯賃金も高卒と大卒で差が開いていきます。
特に文系はめっちゃおいしい
大卒が給与面で多く貰えることは分かりましたが、とはいえ大学を卒業する労力が見合っているかも考慮する必要があります。
例えば4年間が過酷すぎて寿命を削るみたいなことになっては行かない方が良いのでは?となります。
あるいは学費が高すぎて賃金で優遇されている分の差額では回収しきれないとか、卒業が非常に難しくて卒業できなかった場合、賭けてきた学費と年数は無駄になってしまうという期待値のようなことも考える必要があります。
この観点での最適解は文系の学部にいく事です。
普通に出席して、普通にテストをして、レポート、論文をこなしていればまず卒業できます。
スケジュールも文系学部の場合、非常に緩いです。
講義の取り方によっては週3日しか大学に来ないという時間割にできます。
このように必要な努力量に対して得られるリターンがとても大きいです。
一般的に、理系の方が能力は高いと言われがちですが、実際の企業の募集要項は文系理系あまり関係なく初任給は等しいです。
理系学部じゃないと就けない職は一部ありますが、そういうのを除けば、待遇は等しいです。
学費の面では大学の種類によって以下のようになります。
- 国立大学:約50万円/年
- 私立大学(文系):約100万円/年
- 私立大学(理系):約120万円/年
国立大学は文系理系で同じ金額ですが、私立に関しては文系が安くなります。
学費が掛かっても賃金の優遇の方が圧倒的に大きいので十分回収できると思います。
このように文系学部は労力に対して旨味がありすぎる選択です。
大学は保険
大学は保険料を支払って病気やケガのリスクに備えるのと一緒だと思います。
言い換えると、大学は学費と4年間の時間を支払って“自分に秀でた才能が無かったときのリスク”に備える保険だと思ってます。
つまり凡人のための会社員として生きる選択肢を持てる進路だと思います。
なので一般的な保険と同様に、保険料を支払ったけど結局、病気にならずにただの杞憂で終わるみたいなことが大学進学にも起こります。
大学まで行ったものの結局、個人事業主で生計を立てるみたいなケースです。
あるいは学歴が関係なくなるほどの才能があるといった場合も大学進学は必要無くなります。
とはいえ、自分に才能があるのかは時間が経たないと分からないです。
もし才能が無かったと分かったときに路線を変えるのも労力が掛かりますし、簡単なことではありません。
そんな中で大卒であれば最悪中途で入社すれば、とりあえず会社員で生きていくことができます。
また、保険があるからこそ思い切ってリスクを取りに行けるという考え方もできます。
ただし理系は闇
理系に関しては私立だと学費が高いというのはもちろんありますが、留年・中退しやすくなります。
普通に出席して、それなりに勉強しても届かず単位が貰えないということもしばしばあります。
それに加えて、余裕が無くなると他人にきつく当たりがちになるので、人間関係は悪くなりがちになります。
(学生間であったり、教授との間であったり。)
さらに時間も圧迫されやすいです。
課題の難易度が高いというのもありますし、ブラックな研究室だとコアタイムが長くなりがちです。
数少ないメリットとして一部、理系学部じゃないと就けない職も確かにありますが、理系専門職でも特別待遇が良い訳ではありません。
それ以外の職種では文系理系で待遇面が変わらないので、理系学部の恩恵はあまり無いと言えます。
また、数字に強くて羨ましいと言われることもありますが、それは卒業したから言える話であって、卒業できなければ高卒になってしまいます。(残酷なことに中退という学歴はありません。)
中退してしまうと学費と年数が無駄になってしまうので、理系で特別就きたい職が無い場合は理系学部を避けた方が良いと言えるでしょう。
まさに理系は魔境と言えます。
待遇だけならFラン大学もナシではない
入社してしまえば、待遇自体は高学歴と全く変わりません。
卒業しやすいし、入試に時間を使わなくていいのでコスパ自体は良いと思います。
日常会話などで学歴の話が出た際、そういった場面でプライドが傷つかないのであれば、待遇面は変わらないのでアリかも。
ただし、周りの学生も講義の内容もぬるま湯水準なので、自分で余暇時間に何か取り組む、何か作り上げるなどの行動をしないと就活などで語れるネタが無いです。
通信大学もアリ
学位が欲しいだけなら通信大学もアリだと思います。
普通に仕事しながらでも通えるし、専業主婦をしながら通うなんてこともできます。
学費もリーズナブルで、時間も映像授業がメインなので日常生活と並行しながら大卒の資格を得る事ができます。
高卒
高卒で就職する場合について考察していきます。
会社員じゃないなら高卒もあり
今まで説明してきた大学のメリットは、ほぼ全て会社員だからこそ受けられる恩恵です。
個人事業主として等、独立するといったことであれば、学歴で判断されないので(判断する人が周りにいないので)高卒で四年早く社会に出ることができるメリットの方が大きくなります。
そこで一本に絞るならアリかもしれません。
ちなみに私は個人事業主なので大卒ブランドを全く活用できていません。
選べる職種は少ない
選べる職種は少なめです。
ちなみにITエンジニアの場合、技術職ということもあって高専であれば高卒も採用する会社があったりします。
大学院
大学院に進学するケースについて解説します。
私が理系学部にいたということもあり、主に理系寄りで扱います。
大学院はダメ
これまで高卒は早く社会に出られる。早くから仕事に取り掛かれると書いてきました。
そして大卒であれば学費と年数を引き換えに職業の選択肢が広がる保険になるとも書いてきました。
大卒の先には大学院があるのですが、あまりオススメはしません。
何故なら高卒→大卒であれば職業の選択肢が広がるのに対し、大学院に進学することで職業の選択肢がむしろ少なくなるからです。
つまり学費と年数を引き換えに選択肢が狭まることになります。
確かに修士でないと就けない職は存在します(特に理系は)。
しかし修士でないと就けない仕事は滅多にないです。
たとえば研究職や、品質管理といった(研究室で作業する的な)職種等です。
ですがこういった職種は特別に待遇が良いわけではありません。
それどころかこれらの職は性質上みなし残業になりがちです。
また、卒業のハードルが学士より高くなります。
研究成果がでなくて満期退学といったケースがありますし、論文が通らなくて満期退学ということも良く起こります。
加えて、TAや実験の準備等で拘束時間が長くなりやすいので、その分労力が掛かります。
これらの理由から、大学院への進学はあまりオススメしません。
まとめ
大学の文系学部は一番コスパが良い。大学院を選ぶ人は狂人。